点滴のチューブに空気が入っていたときの対処法
- 2015/6/25
- ノウハウ・ハウツー
- 点滴のチューブに空気
点滴のチューブに空気が入っていたときの対処法
点滴のルートに空気が入っていると、血管に空気が入って大変なことになると聞いたことはありませんか?
入院中の患者さんからも慌ててナースコールがあることがあります。今回は、点滴ルート内に空気が入った際の実際のところとそのときの対処法をご紹介します。
1.血管内に空気が入ったら
多量の空気が血管に入った場合、その空気は末梢の血管から中心の太い血管に入り、さらに右心房から肺動脈へと流れ、肺動脈で空気塞栓を作り肺塞栓を引き起こします。
肺塞栓は重篤な循環器障害を引き起こし、最悪のケースも起こりうります。このように書くとかなり怖いですが、実際にはかなり「多量の」空気が入らない限りはこのような事態にはなりません。
静脈内に入った少しの空気は体内で自然と吸収されていきます。
2.危険な量
それでは「危険な」多量のラインはどこになるのでしょうか。様々な報告をまとめた結果、10mlほどになるだろというのが現在の見解です。
10mlの空気というのは点滴のルートに直すと、2mほどの長さになります。現在使用されている点滴ルートは120cm前後ですので、点滴ルート全体が空気で満たされていても安全という結論になります。
また点滴ボトルが空になったときも、空気が入るのではと心配される方もいると思います。
点滴は静脈に留置されていますが、静脈のほうが点滴ルート内より圧力が高いため血流が点滴ルートを逆流し、空気が血管内に入ることはありません。
3.点滴内の空気の抜き方
とはいっても、空気が血液に入ることは気持ちがいいものではありません。ベッドサイドで点滴ルート内に空気が入ってしまった場合の対処方法を紹介します。
①クレンメから上の小さな気泡
クレンメから上のルート内に小さな気泡があった場合は、指ではじいて点滴筒に空気を追いやります。このときクレンメは閉じておきましょう。
②クレンメから上の空気
ボールペンなど固いものにルートを2,3周巻きつけ、その状態で上にしごき、点滴筒まで空気を押し出します。このときクレンメは閉じておきましょう。
③クレンメから下のルート
まず、三方活栓の患者さん側を閉じます。クレンメを開けて輸液で三方活栓から空気を押し出します。逆流防止弁がついている三方活栓の場合はシリンジをつなぎ、同様にして空気を吸い出します。
このとき、三方活栓は清潔に扱い感染には十分に注意を払ってください。
④クランプ・ミルキング法
このような方法もありました。
最後に
いかがでしたか?患者さんから「点滴に空気が入っている」と訴えがあった場合、大丈夫と笑ってすませては、体には影響はなくても患者さんとの信頼関係に影響が生じてしまいます。
大丈夫な根拠が説明できるようにするとともに、すぐに対処ができるようにし、ラウンドの際には空気が入っていないことを確認するなどのくせをつけるといいですね!