CVポートの閉塞予防はポートの構造を知るべし!意外に知らない構造のちがい
CVポート(皮下埋め込み型中心静脈アクセスポート)は、本体が完全に人体の皮下に植え込まれた中心静脈カテーテルです。
末梢静脈路で投与すると血管痛や血管炎を起こす薬剤、血管外漏出(点滴漏れ)を起こすと重篤な組織障害を起こす薬剤(抗がん剤等)の投与経路として採用されることが多いのです。
また、在宅療養患者さんにとっては、末梢静脈路や中人静脈カテーテルよりも管理しやすいという利点もあります。静脈注射であれば、その都度血管確保が必要ですが、CVポートであれば簡単な手技で注射が可能だからです。
患者さんにとって輸液が大きいと言えるCVポートですが、CVポートならではの合併症があります。今回は、「CVポートの閉塞」について、原因と予防ケアを解説していきます。
閉塞の原因を知るには、CVポートの構造を知ろう
CVポートの閉塞は、輸液が終了した時に行う、フラッシュが不十分なことによりおこる閉塞が多いと言われています。
CVポートの滴下不良、いわゆる「詰まる」という現象はなぜ起こるのでしょうか?
この現象を解説するには、CVポートの構造を知ることが大切です。
CVポートのカテーテル先端の形状は、グローションタイプ・オープンエンドタイプ・一方弁タイプに大別されます。それぞれの特徴と、注意点についてみていきましょう。
CVポート構造の違いとフラッシュ方法
グローション タイプ
セプタムというタンク部分からでたカテーテル先端の側面にスリットが入っているタイプです。輸液実施時、フラッシュ時、シリンジで血液を吸引すると、閉じていたスリットが開きます。
何の手技も行っていない時は、スリットは閉鎖しているため、血管からカテーテルに血液が逆流せず、血の塊である「血栓」が作られにくいのが特徴です。
血栓が形成されにくため、輸液終了時のフラッシュは生理食塩水を使用します。
オープンエンド タイプ
血管の中に中地されているカテーテルが、いわゆる普通のカテーテルの形状となっています。先端が開放されている状態です。
カテーテル内に血液が逆流し、血栓ができる可能性があります。そのため、フラッシュやカテーテルロックはヘパリンナトリウムを使用します。
ヘパリンと生食が一定の割り合いでシリンジにセットされた単回使用専用の「プレフィリドシリンジ」の商品が発売されており、それを使用するのが一般的となっています。
ただし、商品によっては、CVポートカテーテルにヘパリンコーティングという加工がされ、血栓閉塞を予防できる素材もあります、この場合は生理食塩水のロックで十分なこともあります。
いずれにせよ、商品説明の添付書類を良く確認しましょう。
一方弁付きタイプ
セプタムというタンク部分と、カテーテルの間に「逆流防止一方弁」がついているタイプです。CVポート穿刺後、血液を吸引しようとしても無理な商品です。
一方、弁付きであることを把握せず、強い力で逆血させようとしたりすると、弁が破損してしまう危険があります。また、逆血が無いので、「詰まっている」と勘違いしてしまう事もあり注意が必要です。
CVポートとカテーテルが詰まっていないかの確認は、生理食塩水が抵抗なく注入できるか、の一点です。輸液終了時のフラッシュは生理食塩水を使用し、20mlが必要です。
まとめ
CVポートは長期にわたって使用されることが多く、必ずしも自施設で植え込み手術をしたとは限りません。
転院してこられた患者さん、訪問看護導入の患者さん等の場合、CVポートの構造や、商品名が分からないことが多いのです。
医療機関や施設間での情報共有がとても大切なのです。
看護サマリーや診療情報提供書に「CVポートを入れています」という一文だけではなく、商品名や構造についての一文が必要になってきます。